現在、3月スタートの先生向けのクラスの日程を調整したり、説明会のご案内を差し上げています。
これまでお問い合わせ頂いた方にメールでご案内したので、届いていない場合はお知らせくださいね。
「ライセンスコースはまくまパンの贈り物」と「可愛い自宅教室の作り方」の講座です。
頂いたお問い合わせにメッセージを添えてお返事したり、日程のご案内しているうちに、「私が一番最初に教室を開こうと思ったきっかけ」についてブログに書こうと思い立ちいました。
単純なようで、とても長い話になるので、これまで書こう、書こうと思いつつ記したことがなかったかもしれません。
とても長くなりそうで、こうして書き始めた時点で、きちんとまとまってアップできるか不安なのですが、興味があったら読み進めてみてくださいませ。
教室を開きたいと思っている人。
今開いている人。
自宅教室ではないけど、何かしら新しいスタートをしたいと思っている人。
そんな方のヒントになれば幸いです。
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さて、このページの写真は、「2011年9月に横浜おうちパン教室がスタートしてから半年以内のもの」だけに限って載せています。
つまり、始めてまだ間もないころの写真です。
当初からくま愛がありましたね(笑)
教室をスタートしようと思うと、今すでにスタートしている他の方の教室を見たり、自分が憧れていたり素敵だなって思う方に目がいくかもしれません。
きっとあなたが目を留める教室は、パンも美味しそうで写真も綺麗で、ランチもオシャレに盛り付けてあって、使っているお皿も可愛らしくて。
ああ、こんな教室が私もやりたい、と思うセンスに溢れているに違いありません。
いつも生徒さん(私はいつも「ゲスト様」という言い方をしますがここではあえてこの書き方にしますね)がたくさん来ている様子で、先生の技術もしっかりしている。
インスタはフォロワーがたくさんいて「いいね」もいっぱい。
対してこれからスタート!な自分はどうかな?
何からやればいいのだろう。
ランチもオシャレに考えたり、お皿を揃えたり。パソコンでレシピを作ったり、募集のためにインスタを始めたり・・
長い目で見るとブログの方が宣伝にはいいって聞くけど文章を書くのが苦手だし。
結局楽な方になってしまう。
何より、今の技術でスタートしていいのかしら。もっと勉強してからじゃないと教えるなんて無理じゃないかしら。
憧れや理想はあるけれど、現実は決めること、進めなくてはいけないことがあり過ぎて、何から手をつけていいかわからないのではないでしょうか。
でもね、「今からスタート」ということは、会社で言えば新入社員。
部活で言えば1年生。
そう考えると、すでにスタートしていて実績のある人と同じレベルでやって、同じリターンを求めるなんて、実は求めすぎかもしれないのです。
↓2011年9月スタートだった私の教室。 最初のレッスンパンのひとつ。クマのパーカーハウス。
私が教室をスタートした時。
まさに一年生だった時。
教室には素敵なランチも、テーブルコーディネートもありませんでしたよ。
パクっとくまさんのあご(?)を開いて、野菜や卵、ハムをサンドして召し上がれ~~。
ハムは市販品です~みたいな気軽な感じでした。
スタート2か月後のレッスンだったシナモンロールは紅茶とイチゴがお供。
こんな風にすごく凝ったおもてなしもないし、他にはない凝ったパンを教えていたわけではありませんでした。
でもこの頃すでにキャンセル待ちの方がいて、スタート3か月後には新規の方がレッスンに入るのを制限しなくてはいけないほどでした。
もちろん、レッスン人数でお入れできるのが30名くらいだったので(今はその倍くらいの定員です)、そもそもの定員が今より少なかったのもありますが、それでも、全くゼロから教室をスタートして、常に30名以上が募集してすぐ満席になり、それとは別にキャンセル待ちが増えていったのですから、当時から今に至るまで、小さな教室なのに本当にびっくりするくらいの多くの人に目を留めて頂いたと感じています。
本当にありがたいことです。
当初のパンはシンプルでした。
ここでしかない特別なものではなかったです。
もちろん自分なりのアイディアはありました。パン型を買いたくない方のために、無印の琺瑯を型代わりにしたちぎりパンとか。
(ちょうど教室がスタートして半年後、2012年3月ごろのレッスンです)
スープはまさかの市販品。
お茶は麦茶です・・!
でも、可愛いペーパーナプキンを探してみたり、好きなカラーの布を見つけてテーブルクロスをちくちく縫ったり。
食器もカトラリーも100円ショップのものばかりでしたが、「自分がこの雰囲気が好き!」ってピンときたものだけを集めるようにしていました。
人より優れていたり、素晴らしい部分は全然なかったんです。
個人が自宅でやっているパン教室にも一度も行ったことがありませんでした。
だから人がどうやっているかとか、気にしないで、「自分がこういうものが好き」ということだけを反映させていました。
これもスタート半年後くらいのパン。
あれ?今より真面目なパンが多い気が・・・(笑)
いちじくとクルミのパン。サイドメニューは市販のスープにお野菜を足したものと、チーズとベリー類というお手軽さ。
こうして写真を見ると、つたなくはありますが、自分なりの世界を教室に出しているのが表れていると思います。
この後、少しずつ手作りのサイドメニューにこだわったり、パンをおまけでもう1種類焼いたり、テーブルもパンや季節に合わせてアレンジして、毎回コーディネートしてみたり、今やっているスタイルが出来上がってきました。
つまり、いきなり全部できたわけではないのです。
レッスンがなんとかこなせるようになっていって、ようやく他の色々なことを肉付けしていけたのです。
もちろん、理想は最初からありました。
絵本みたいな可愛いカフェランチ。
おとぎ話みたいな可愛い色の使いのテーブル。
サンドイッチを一緒に作ったり、ひとつのパン生地から色々展開したり。
脳内ではずっとあったんです。
それが1年目、2年目、3年目・・・とやっていく中で、ようやく思い描いていた全部を形にする余裕ができていったのです。
スタートしてすぐの私にできたのは、「今できる精一杯の楽しい教室をやること」だけでした。
月並みですが、理想を現実化するには、まずはスタートして実力なり経験なりを蓄積するしかないのです。
理想と夢はあっても、座していては形になりません。
つまり、100メートル走のタイムを今より縮めたい~って夢を見ても、トレーニングしないとそうはならない。
英語がペラペラになって旅する自分、が夢なら、まずは目の前の勉強をして、夢と現実のギャップを埋めなくてはいけない。
自宅で教室をやるのも同じです。
夢と理想があっても、今の自分とそこに距離があるなら、やはりまずは目の前の一歩をスタートしてその距離を埋めていくしかないのです。
近道はないと思います。
起業してすぐに儲かる、〇〇人集まる方法がある。そういう宣伝をしている方もいるかもしれません。
でも私は近道はないと思っています。
近道はないけど、歩いたら楽しい道。
歩いていたら楽しくて楽しくて笑顔になる道はあります。
そこを通れたら素敵だと思っています。
パン教室をやりたくて、自分がやりたい雰囲気の教室(その時々で精一杯の)をやって、ここまでの道を歩いてきました。
歩いたから今があります。
遠回りでも近道でもなく、真っすぐで楽しい道でした。
そんな道をこれからスタートする方にも歩いて頂けたらと思っています。
実はこれ、全部前置きです(笑)
前置き長!
どうしてこんなに書いたかというと、「教室を開いたきっかけ」に繋がるのです。
私が教室を開いたきっかけは、人生で1度だけ会ったとある方の言葉に「はっ」としたからでした。
運命の言葉でした。
だから、同じように私が今書いている言葉のどれかに「あ!そうか・・!」って思ってくれる方がいるかもしれない。
そう思って書いています。
さて、教室を開こうと思ったのは、今から9年くらい前。
36歳の秋だったと思います。
その時会社員でしたが、独立して仕事をしてみたいという想いが強かったのです。
何かを「作ること」が好きだったので、自分がいいと思うことだけを作って仕事にする生活をしてみたかったのです。
仕事自体も「作ること」ではあったので、それでもよかったのですが、自分ですべて決断してみたいという想いがありました。
独立と言っても当時36歳の私に何ができるでしょうか。
ホームページの制作もやっていたので、それもそこそこの腕があり、フリーで受注することができたかもしれません。
でも、日進月歩の世界。技術が追い付くには相当の努力が必要です。
絵も好きで描いたり、ちょっとしたパッケージのデザインもしていましたが、到底それ一本でプロでできるような腕ではありません。
パン作りも人を家に呼んでもてなすことも大好きでしたが、製パン学校を出たり、食関係の会社にいたわけでもありません。
私がもし習う側なら、昨日今日パンを習い始めて教えている人よりも、長年教えていてしっかりしている人がいいので、まさに自分自身が「自分が習いたい先生」から大きくはずれているではありませんか。
フリーになってお金を稼いで生きていくにはあまりにも実力が不足していた30代後半。
市場価値という言葉がありますが、会社員ではない私は市場価値がないに等しいと感じていました。
でもそんなとき、とある事情で一度だけ訪れた小さなカフェの店主の言葉が私を動かしました。
小さなカフェです。
凝ったオシャレな内装ではありません。
居心地はいいインテリアでしたが、プロの内装という感じではなく、DIYでやったのかもしれません。
数人で満席なんじゃないかしら?というくらいのテーブル数しかありません。
何より、全然便利な場所でないのです。
カフェの集まっているようなお洒落エリアでなく、本当に地元の方だけが乗り降りするような駅から少し離れた場所にあるのです。
珈琲もケーキも美味しかったけど、1日いくつ売れるんだろう?
このカフェをやって、一体1日いくらの利益があるんだろう。
ふと、「どうしてこのカフェをやっているか」
店主さんに聞いたのです。
そうしたら、「いろんなことが少しずつ好きなんです」と答えが返ってきました。
珈琲を入れること、ケーキを焼くこと、手作りの作家さんを集めること(店内に作品が売ってました)
どれも少しずつ好きなんです。
だからカフェをやっています。
当たり前のことを言われたのかもしれませんが、これがなんだかすごく衝撃だったのです。
私はそれまで、何かをやるとしたら一流でなくてはと思っていました。
(そのカフェの珈琲やケーキはもちろん素晴らしかったので、そこが一流でない、という意味ではありません。念のため)
だから自分は今から一流のデザイナーにもなれないし、一流の食関係の人にもなれないし、色んなことができて器用と言われてきましたが、そのどれも一流でも専門でもないから、少々できても好きな分野があっても意味がないと思っていました。
だけど、色んなことが少しずつ好きで結実する、という形もあっていいんだ・・・と急に考えがクリアーになったんです。
パン作りは子供の頃から好きでしたが、専門の学校を出たわけではないですし、そもそも大学は文学部で食物にも作ることにもかすりもしていません。
でも、パンを捏ねて焼きあがるまでの時間がずっと好きでした。
正直、できあがったパンの良し悪しはあまり気にならず、「さあパンを作るぞ!」っていう休日のひとときが好きでした。
だってパン作りなんだかわくわくしませんか?
そんな風に、食べるため、生きるためではなく、休日の特別な楽しみのためにパンを作る時間を作れたら。
そして、手作りの小物や飾ってあるものの色使いでキュンとし、食卓を囲んだ人同士でおしゃべりが弾む。
パソコンでデザインすること。紙のクラフトの小物を作ること。
可愛いものを考えること。パンを作ること。
一流にはならなかったけど、ちょっとだけ得意なこと。
それらの「色んなこと」を少しずつ集めたら、プロではない私にも理想のパン教室、手作り教室が作れるのでは。
そんな風に急に思えたのです。
そう思った瞬間から、「いつか教室を開く前提」でアメブロをなるべくたくさん書くようにしました。
「楽しい最初の一歩」を踏み出したわけです。
「教室を開きます!」って連呼したわけではありません。
私がどんな雰囲気が好きで、どう生きているか。どこに住んでいるのか。誰と暮らしているか、どういうパンを焼いているか。
ひたすら綴り、趣味の合う方の目に留まればいいな、と思っていました。
教室を開く、こういうパンを教えます、って書くというのはいわば宣伝。
でも、宣伝ばかりされても嬉しい人はいません。
「〇パンが焼けました。レッスンします。どうぞいらしてください。終わり」なブログって楽しいでしょうか?
だから、読んだ方がまず楽しいと思ってもらえる内容にしようと考えました。
お気に入りのお店を覗いてウインドーショッピングする気持ちのように読めるブログを書こうと思いました。
例え教室に来れない距離に住んでいたとしても、ふらっとブログを覗いたら、はまくまさんとなんだか趣味があいそうでいい時間を過ごせた。
そう思ってもらえたら、素敵なことだと思ったのです。
好き、なことをたくさん積み重ねていけば、きっと誰かに伝わると信じていたのです。
私が教室を始めた理由。
色んなことが少しずつ好きだったからです。
色んな「好き」を人と共有したかったからです。
その「色んなこと」は、どれも中途半端で決して優れていませんでしたが、集めて続けることで、少しずつ少しずつ理想とするイメージに近づいていきました。
かといって、一番最初が理想と程遠かったわけではありません。
螺旋階段で言えば、同じところをぐるぐるしている感じ。
段々上へ上へと。レベルはアップしています。
最初の瞬間は随分下にいるけど、周っている軸が一緒なので、最初から同じ場所にいるのです。
情報過多の時代です。
右を見ても左を見ても素敵なこと、素敵な写真で溢れているかもしれません。
でも、見上げた先にある理想の教室までいくには、同じ軸の中にある一番下の最初の一歩の階段の一段目を踏まなくてはならないのです。
先の理想と、目の前のことと。
同じくらい大切です。
でもまずは目の前の一歩だと思います。
言いたいことがちゃんと書けたか自信がありませんが・・。
こうして書いたことが、自宅の教室のことでなくても、何か新しいことを始めたい方の一助になれば幸いです。